新型コロナウイルス感染症(COVID-19)蔓延期における
「第46回夏の子ども会」開催に際しての考え
20/05/22 末尾に新規追記あり
 
■子どもの感染リスクについて
 小中学校の休校が続いたり多くのイベントが中止されたりした後、感染者が多かった地域でもようやく緊急事態宣言が解除されつつあります。それでも、今後の行事開催に不安を感じられる方は少なくないことでしょう。
 全国の感染者数がピークだったとされる4月1日、厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」は、「学校については、現在の知見では、子どもは地域において感染を拡大する役割をほとんど担っていないという情報を得ている。従って、学校については県という大きなくくりではなく、地域や生活圏ごとの蔓延の状況を踏まえて、判断していくことが重要」と明言しています
 また、日本医師会COVID-19有識者により5月15日に発表された「小児の新型コロナウイルス感染症に関する医学的知見の現状」(森内浩幸 長崎大教授 / 岡田賢司 福岡看護大教授)では、次の通り述べています。
 □患者の中で小児が占める割合は少なく、また、そのほとんどは家族内感染である
 □現時点では、学校や保育園におけるクラスターはないか、あるとしても極めて稀と考えられる。そして、小児では成人と比べて軽症で、死亡例もほとんどない
 そして、公表されている各地の感染者情報や海外の専門機関の報告でも、二十歳未満の感染者数は特異的に少ない割合で推移しています。
 私どもの会運営にあたっては、むろん宿泊を伴う生活部分について十二分な対策を講じたうえで、基本的に上記の学校や保育園に準じた考え方に則ります。
 
■後回しにできない子どもの育ち
 この3月末の「春の子ども会」や、小学校休校長期化への緊急対応として4月に二次にわたり実施した「2020春合宿」で私どもが接した子どもたちには、妙にはしゃいだり、物静かな子がおしゃべりだったり、早くもふだんとは異なる姿が見えました。子どもたちのストレスは見えにくいだけで、各種報道では一部で深刻化していると伝えられ、前述の日本医師会COVID-19有識者の報告ではこうも述べています。
 □学校や保育施設の閉鎖は流行阻止効果に乏しく、逆にCOVID-19死亡率を高める可能性が推定されている
 □教育・保育・療育・医療福祉施設等の閉鎖が子どもの心身を脅かしており、小児に関してはCOVID-19関連健康被害の方が問題と思われる
 感染のリスクを皆無にすることはできませんが、学年や学校が変わりながらも鬱屈した生活を強いられたこの時期に、のびのびできる体験には大きな価値があると確信しています。
 
■常にリスクと隣り合わせの野外活動
 ご承知の通り、人の生活、人間の活動は全てリスクと利益の比較の中で営まれています。
 ワクチンを大勢に打てば、障害や死亡といった事故がわずかでも必ず生じることがわかっていながら、それをはるかに超える利点があるからこそ、被害救済制度を整えたうえで公的予防接種が行われています。交通事故が頻繁に起きていながら車の運転が許可され、道路に飛び出した子をはねてしまうかも知れないのに多くの人が運転しています。
 野外活動でも、常に無事故をめざしていますが、危険を全く回避することはできません。転んで大きくすりむいたり、人や物と衝突したり、毒虫に咬まれたり、刃物で指を切ったり、意図せず熱い鍋に触れて火傷をしたり、慣れない環境からか体調を崩したり……。思わぬ所にケガや病気が待っているものです。
 ちなみに、国内ではインフルエンザにより数十名の子どもが命を落とす年も珍しくありません。ほとんど起きない、あるいはまれに起きる「大半が軽症で済む感染症」を恐れるあまり、子どもを閉じ込めておくことが、本当に彼らの安全や健康を守ることになるのでしょうか。
 
■科学的に正しく怖がること
 2016年に私どもはノロウイルスの施設内感染を起こし、その時の反省から多くを学び、ノロ・インフルエンザ両ウィルスへの対策を実践してきました。新型コロナウイルス対策には従来のインフル感染防止策が有効とされており、「春の子ども会」や「春合宿」でも、年間行事で最高レベルの「冬の子ども会」と同じ態勢で臨むことで、参加者全員の健康保持を図りました。
 さて、「人と人の関わりを8割減らす」が、そのまま「外出を8割減らす」と混同されがちですが、文字にすれば明らかなように両者は全く異なります。携帯電話位置情報の分析から「人が○%減った」というのも、それは地域住民や勤労者を含む数として意味をもつ数であって、「人と人の関わりを減らす」こととは別の数字です。他都府県からの流入を阻止しようとする動きについても、膨大な物流従事者の行き来をそのままにしておいて感染拡大抑止効果があるのか、疑問です。相関関係があったとしても、そこに因果関係があるとは限りません。
 さまざまな情報が錯綜する中で、正しく怖がることは非常に難しいことだと痛感しますが、それを常に念頭に学びを続けます。私たちは過剰に怯えず、軽視することもしない「正しく怖がる活動」を実践したいと考えています。
 

 

■具体的な対応につきましてはこちら(夏の案内書P.32に掲載 / 冬の改訂版はこちら)をお読みください。
 
■追記 7月以降の陽性者増加について
 全国的な感染地域拡大と陽性者増加に対しましてはご心配の方が多いと存じます。それでも、PCR検査数が緊急事態宣言終了以前に比べ格段に増え、3~4月の第一波時の潜在ケースが顕在化していることや、陽性率・実効再生産数・死亡数・軽症者の割合・治療実績その他の指標を検討した結果、市中感染の度合いは深刻化に至っていないと考えています。また、厚労省は不顕性=無症状感染者が感染をさせる科学的根拠は無いと明示しています。
 そして、専門家(感染症防御学)の助言を受けながら独自に作成した、詳細なガイドラインをさらに見直し、感染防止策をより強化することで対応できるものと判断しています。無論、感染リスクをゼロにすることはできませんが、幸い若年者の大半が軽症であることをふまえれば、例え感染したとしても、行くべきでなかったとは思われないようにすることは可能です。私どもは、参加で得られるメリットをさらに大きくすることをめざしています。落雷や転落など、野外活動にあり得る他の危険回避と同様、お子さんの命を預かる責任を全うする覚悟で、「第46回夏の子ども会」を予定通り開催する所存です。(最終更新20/08/08)
 
文責 綾崎幸生(アルプス子ども会 COVID-19担当顧問)
 
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