会報『くさぶえ』20年12月号掲載
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とのつき合い方 [PDF版はこちら]
 
 いわゆるコロナ下での「夏の子ども会」開催について、アンケートでは多くの方から支持・評価する記述をいただきました。それでも、すでに春にはウイルスとの「主戦場」になると予想されていた冬季を前に、感染の再拡大が始まっています。そこで、「冬の子ども会」を前に、案内書や公式ウェブサイトで示している対策とは少し別の角度から、改めて当会の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との「つき合い方」をお伝えします。

 

どの情報を信頼するか
 専門家でも感染状況への判断や為すべきとする対処内容に意見が分かれる中で、どれを採るのかは非常に重要な問題です。私たちは2月以来、精力的に情報を集めました。そこで見えてきたのは、単なるウイルス単体や感染症そのものの研究者よりも、傾向としては公衆衛生学者や、感染と社会との関わりを熟知している産業医、小児科臨床医らの見解の方が、どういう対策を取るべきかという肝腎な点を考えるうえで、納得・同意しやすい点が多いということでした。
 他方、当然ながらウェブで得られる情報は玉石混交のため、どんな根拠やデータがあるのか、なるべくその主張の源にまで調べることを心がけました。元々当会は『めざすこと』の中でわざわざ「科学的・多面的な物の見方を重視する」と謳っており、意見に合理性を求めたり疑ったりすることは、日頃から行ってきたことです。
 また、子ども会での現実や施設など、現場を具体的に知っているリーダー経験者の医師らに助言や見解を求めたり、コロナ以前から感染症対策本を書いてきた著者に直接相談したりして、対策を練りました。

 

何と言ってもキモは換気
 対応ガイドラインを決める際には、何より①施策の実効性がその苦労に見合うのか ②実際にみんなができるのか の二点を最重視して検討を重ねました。
 どのような状況で実際に感染が起きているかを見ると、「三密の重なり」の回避すなわち感染防止の鍵は、気密の根絶にあることに気づきます。屋内でマスクを外している時に、窓を全開にして扇風機で風を全員に当てていれば感染はまず起きません。逆に、どんなに手を洗ったり物を消毒したりしていても、換気が悪い状態で保菌者が同じテーブルの隣や向かいにいたら、それだけで感染リスクは高まります。レストランや居酒屋で消毒を徹底しても、什器を舐めまわす人はいませんし、口からの飛沫(核)が問題になるため、あまり意味が無いのです。
 そこで、「夏の子ども会」では空気の撹拌と換気を最重視しました。寒い「冬の子ども会」では、往復のバス車中も含め、しっかりと暖房しながらも厚着を呼びかけて、十分な換気・撹拌を確保します。

 

■「何ができない」から「どうすればできるか」へ
 一待ったなしと言われる子どもたちの成長を前に、「ウィズコロナ」とは、決して不自由を我慢する生活のことではなく、あれこれと考えてできることを増やす生活であるべきだと捉えた方が、どれほど多くの人が暮らしやすくなるでしょうか。子ども会の開催自体がそうであるように、各行事についても「どうすればリスクを下げてやれるか」を念頭に計画、実施します。感染の大半が呼気から起きる事実をふまえ、特に「うた・ゲーム」には、新たな方策を勘案しています。
 ご承知の通り、不顕性感染(症状の出ない保菌者)が多いCOVID-19の特徴から、しかも蔓延期に入って久しいことから、ふだんの学校や社会での生活は、すでに「(不顕性)感染者と共に生きる」という意味での「ウィズコロナ」にあり、だからこそ多くの人がマスクを着けている訳でしょう。体調不良者に子ども会の参加を控えてもらっても、中には健康な保菌者がいても当然だと想定し(幸い不顕性感染の場合は他者に移すリスクが低いとされています)、それをわきまえたうえで感染を広げないように努力することが重要だと認識しています。