新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の市中蔓延常態化から1年半、第五波が収まったとは言え、大勢が集まり接触する行事の開催は今後も心配されます。当会では、昨春以来多くの情報を子細に検討し続け、実効性のある入念な対策で活動を中止することなく、延べ約4,500名の宿泊行事を開催してきました。その間、今夏の一つの組で計15名が陽性となる感染を起こしました［→報告ページ］。この経験もふまえ、ノロウイルスやインフルエンザの予防にも留意して、今回は下記の通り対応します。

 

■開催への考え方や見通し
　ご承知の通り、人の生活は全てリスクと利益の比較の中で営まれています。ワクチンを大勢に打てば障害や死亡といった事故がわずかでも必ず生じることがわかっていながら、それをはるかに超える利点があるからこそ、被害救済制度を整えたうえで公的予防接種が行われています。
　野外活動でも、常に無事故をめざしていますが、危険を全く回避することはできません。転んですりむいたり、虫に咬まれたり、刃物で指を切ったり、熱い鍋に触れて火傷をしたり、慣れない環境からか体調を崩したり……。それでも、それらのリスクを大きく上回る価値がもたらされてきました。
　感染症を恐れるあまり子どもたちについ我慢を強い続けてしまい、本来得られていた体験や力をこの1年半余にどれほど奪い、心身を蝕んできたか、私たちはもっと直視すべきではないでしょうか。
　新たに生まれる変異ウイルスについては予断を許しませんが、第五波で激増した十代以下の感染者は依然としてほぼ全てが軽症か不顕性(無症状)です。対応する社会体制や治療法も整ってきました。私たちはもちろん万全を尽くしますが、もし感染したとしても「参加して良かった」と、全ての子どもたちに思ってもらえるように、プログラムの充実や子ども本位の運営をめざす努力を惜しみません。

 

■三密、特に気密を避け、科学的に正しく怖がる
　感染症に限らず、会では過剰に怯えず、決して軽視もしない科学的な見方を堅持します。
　COVID-19対策専門家会議は当初から、①換気の悪い密閉空間　②多くの人が密集　③近距離での会話や発声　の三条件が同時に重なった時に集団感染が起きると警鐘を鳴らしてきました。変異ウイルスは条件が重ならずとも感染は起き得るという報告がありますが、上記②･③は会の性格･目的上、期間中に避けては通れない場面があります。そこで、①の換気を十二分に行うことを最重要対策として徹底し、②･③についてもできる範囲で減らすことを心がけます。
　当日の行動については、子どもたちの協力が欠かせませんが、こうした時こそ彼らを大いに当てにして、その力を活かす好機と捉えています。例えば、小学1年生でも気づいた子は大きい子に助言できる、まさに会がめざす「仲間の力」が発揮される時です。なお、注意喚起や感染防止運動等を前面に出し過ぎず、あくまでも楽しい雰囲気の中で遊ぶことを重視し、子どもたちをむやみに神経質にさせないように留意します。

 

 

●施設･設備面　◆外部施設利用の際はできるだけ下記に準じた施策
□室内の十二分な換気と空気撹拌（気温にかかわらず要所の常時窓開け、換気扇･扇風機の大量使用）
□各室ドアを開放固定し、換気扇スイッチを［入］に固定
□施設を広く利用（食堂を時差利用する、班活動は広い所で行う、外遊びを増やす）
□各洗面所等に石鹸･手拭き紙、出入口などに消毒用アルコールを配備
※国立感染症研究所や米国疾病予防管理センターは、接触感染例は限定的であり大半が飛沫による感染との報告をしており、ドアノブ等の消毒や手指消毒の声かけ等は過剰に行わないこととします。
□手洗い･咳エチケット等啓発ポスターの掲示
□体調不良者が出た際に備えた第二保健室の設置

 

●生活面
□特に屋内での不織布マスク着用、手洗い･咳エチケット等、感染防止基本動作への注意喚起と励行
□リーダー･スタッフを含む朝夕晩の入念な健康観察･検温と即時の全体動向把握（外気温や汗の発散に左右されない部位で測定し、微熱兆候がある場合は腋下や舌下で再検温する）
□屋内では常時首振りで扇風機を用いるため、暖房に留意し厚着を促進
□食事準備時の静粛･不織布マスク着用の徹底、取り分けに携わる人の固定化ほか、配膳への工夫
□食事の際は斜めに座ってもつい対座してしまうのを減らすめに、着座位置を示すプレイスシートを使用
□食べている間は「黙もぐタイム」として発声を控え、会のネットラジオ番組『ききみみ』を流したり食べ終えた子から不織布マスクをして話したりするように工夫

 

●行事面その他
□参加各家庭に同居者全員の体調を整えたうえでの参加、あるいは不調時の参加取り止めを予め強く要請
□集散時の送迎人数抑制の要請および集合･解散式の簡略化と、往復バス車中での十分な換気
□レクリエーション選択の工夫（なるべく密着しない種目等、無言ゲームの採用ほか）
□前に立って話す際はマーキングなどで必ず最前列の人と1.5m以上の間隔を確保し、不織布マスクを着用
□プログラムを時間の余裕が持てるように変更、十分な睡眠と休養を積極的に確保、不調時の早めの安静や微熱を軽視しないことなどにより、子ども･リーダーの疲れ過ぎを防止
□リーダー･スタッフ向け「感染症防止対策対応ガイドライン」の更なる改訂と理解・履行の徹底

 

1）参加各家庭に電子メールアドレスの登録をお願いします。
2）出発数日前や当日に、お子さんやお子さんと同居しているどなたかが体調を崩した場合は、参加を固くお断りします。そのため、キャンセル規定を来年の春･夏の子ども会へ振替参加できるように臨時変更します。
3）期間中の微熱等不調者に対しては医療用抗原検査キットを用いて簡易検査を行います。その場合は参加家庭に1回2千円の費用ご負担をお願いいたします。
4）もしも感染者が出た際は、保護者･参加者と相談のうえ、状況に応じたできる限りの措置を講じます。

 

以上は’21年10月18日現在の情報を元に策定したもので、今後の社会状況によって変更することがあります。

 

「COVID-19とのつき合い方」（会報『くさぶえ』20年12月号掲載）