アルプス子ども会代表 桜井 翠(あだな「かばやき」)

私がはじめて会に参加したのは、小学校四年生の夏でした。学校では、先生方の温かいまなざしに見守られてはいましたが、乱暴な子で通っていたので、ほとんど初対面の人に囲まれた自由な生活は、とにかく楽しく、新しい自分になれる気がしたものです。そして、高校生大学生たちに憧れて中学二年でリーダーになりました。以来、たくさんの忘れられない体験や、出会いを駒ヶ根でしてきました。

楽しさや憧れだけではじめたリーダーですが、意識が大きく転換したのは、研修や仲間との語り合いの中で、この活動と社会の結びつきを考えるようになった時でした。私たちの暮らす社会には、苦しく辛い思いをしている人がたくさんいます。誰もがという一般的な話ではなく、性別や地域、学歴や収入、環境などによる偏ったかたちで。高校や大学の授業で、あるいは日常生活や書物を通して知る社会矛盾に対して、自分はあまりに無力ではないか、そう感じていました。しかし、私たちが子ども会で、リーダー仲間や子どもたちと作り上げる日々は、もしかしたら社会進歩につながるのではないか、そう考えるようになったのです。

国や世界は、たしかに複雑で広くて、私たちの日常とはとても地続きには考えられないかもしれません。けれど、自分にとって都合の悪い人と、どう折り合いをつけるか。話してみたら案外悪いやつじゃなかったり、やっぱり嫌いだけど面白い一面もあるんだなと思えたり。誰かが一人で困っている問題を、グループのみんなで知恵をしぼって解決しようとして、うまくいったりいかなかったり。そういう体験がある人は、きっと「社会」という大きな単位にも、その実感を敷衍して考えることができるのではないかと思うのです。
私の学んだ高校の校歌には、「人権の世紀の使命守りゆかん」という歌詞があります。中学校では、思春期らしく「校歌なんて」とそっぽを向いていた私ですが、この歌にはすぐに魅せられました。今でもたびたび思い出しては、励まされます。私が作りたい社会も、こうなんだと。誰もが自分らしく生きられる、人権が大切にされる社会を実現したいと。会の活動も、その一歩だと考え、日々取り組んできました。そのために

 常に子どもたちの本質的な利益を一番に考える会の運営
 より深く思考し、多様性を保ったリーダー育成

上記二点のための、絶え間ない対話を基本姿勢とし、進歩する会作りをめざします。