「ほかのひとに迷惑をかけちゃいけません」
こんな言葉を耳にしたり、そう言って叱られたりしたことはありますか。私は、はっきり言って、それには反対です。

キャンプをしていると、いろんなひとに出会います。
荷物の準備や、歩くのがゆっくりなひと。友だちに意地悪をしてしまって、それに気がつかないひと。自分の気持ちをじょうずに言葉にできなくて、だまってしまうひと。すぐ忘れ物をしてしまうひと。
誰にでも、苦手なことや、困った癖があるものです。(じつは私も、大人になってしばらく経ちますが、こういう苦手なことや困った癖がたくさんあります)
それなのに、「迷惑をかけないように」ということばかり気にかけていると、のびのびと自分らしくすごすのが難しくなってしまうのではないでしょうか。「迷惑をかけるのは当たり前」と考えて、その時どきで、得意なひとが助けたり、みんなの力を合わせて工夫したりする方が、ずっと楽しいことだと思うのです。

もちろん、自分の悪い部分を直す努力は、とても立派ですが、それがほんとうに悪いところなのか、自分の力だけでどうにかできることなのか、よく考える必要があります。たとえば、行動がゆっくりなひとは、丁寧にやることが得意かもしれません。なんでも、すばやくパパっとできるひとは、おっちょこちょいで見落としていることがあるかもしれません。
背の高いひとに見える景色と、背の低いひとに見える光景はちがいます。

アルプス子ども会は、おたがいに気軽に迷惑をかけ合う場所です。
水筒をどこかに忘れてきてしまったんだけど、どうしよう……ってひとがいたら、ひとりで探すより、大勢で一緒に探した方が早く見つかるはずだし、見つかるまでは、みんなの水筒の中身を少しずつ分けてあげるのはどうでしょう。私は、みんなよりも体が大きくて力持ちなので、重いものがあったら持ってあげられます。でも、すぐ忘れ物をしてしまうので、しょっちゅうみんなに注意してもらいます。意地悪をする子がいたら、話をよく聞いて、なんでそうしてしまうのかをみんなで考えよう。
そうやって、年齢や体の大きさに関係なく知恵を出し合って、助けられたり助けたりすることを大事にしているのです。

キャンプでは、大変なことが次つぎと起きます。夕ごはんを作るための火がなかなかつかなかったり、何を食べたいかグループの中で意見がわかれたり、テントを張っている最中に雨が降ってきたり、ケンカしたり……。でも、それをみんなで乗り越えたときの気持ちは、きっとほかでは味わえない特別なものです。
この夏は、どんな面白いことが起きるでしょうか。二つのアルプスにはさまれた、ここ駒ヶ根で、あなたが来るのを待っています。

アルプス子ども会代表
桜井翠 (あだな=かばやき)